TeX Alchemist Online

TeX を使って化学のお仕事をしています。

previewパッケージと \mag

前記事に引き続き,\mag の話です。

追記(2016/09/06):本記事で述べた「開発版 jsclasses」は,正式版としてリリースされ TeX Live 2016 のレポジトリに収録されました。

前記事で述べたように,開発版 jsclasses に搭載されている nomag または nomag* オプションによって \mag を使用しない版面設計を行えば,\mag に対応しないパッケージを正しく使用することができるようになります。

一方,パッケージの中身に手を入れる,開発元に意見するなどして,パッケージを \mag に対応させる,という方向性の解決策もあり得ます。最近では,graphicx パッケージの改修によって \mag 使用時にページサイズ設定がおかしくなる事案が発生しました。graphicx パッケージのバージョンアップに伴うdvips.defdvipdfmx.def の修正によって,デフォルトで用紙サイズ設定の special が発行されるようになったのですが,それが \mag の使用を想定していないがために,jsclasses で 10pt 以外を使用すると用紙サイズ設定がおかしくなるという問題でした。この問題は,現在の最新版 graphicx パッケージでは修正されています。

(u)pLaTeX + preview パッケージ + dvipdfmx での \mag 使用

以前の記事で,図版サイズギリギリにPDFページサイズを切り詰める preview パッケージを紹介しました。

doratex.hatenablog.jp

この記事で紹介したように,preview パッケージはそのままでは dvipdfmx に対応していないものの,ZRさん作のドライバファイル prdvipdfmx.def を手に入れれば, (u)pLaTeX + dvipdfmx のワークフローで preview パッケージが使えるようになります。

ただし,preview パッケージ自体は \mag に対応しているものの,この prdvipdfmx.def は \mag に対応していないようです。そこで,\mag を使用している際にも正しく機能するよう修正を試みました。

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jsclasses 開発版における \mag の扱い

追記(2016/09/06):本記事で述べた「開発版 jsclasses」は,正式版としてリリースされ TeX Live 2016 のレポジトリに収録されました。

jsclasses では,ドキュメントクラスオプションで 10pt 以外の値が指定された場合,10pt で組版したものを \mag で拡大縮小することで版面を設計しています。 ただし,このように \mag を版面設計に積極的に使用するケースは世界的には珍しく,実際 TeX Live 2016 の LuaTeX では PDF出力モードでの \mag が廃止されてしまいました。

また,\mag の使用があまり一般的でないため,世の中には「\mag の使用を想定していないため \mag を指定すると誤動作する」というパッケージが時々存在します。

そうしたこともあって,開発版の jsclasses では,\mag を使用しない nomag というオプションが増設されました。 デフォルトはこれまで通り \mag を使う usemag というオプションが有効ですが,nomag を指定すると,\mag を使わずに実際のフォントサイズで組版されるようになります。

これにより,\hspace{1cm}\hspace{1truecm} が一致するようになります。

\mag を使わないことによる副作用とその対処

ただし,nomag を指定すると,Computer Modern (Latin Modern) のオプティカルサイズによる字形変化が起こり,組版結果の見た目の雰囲気が大きく変わってしまいます。

そこで,\mag を使わない場合も,10pt 以外の Computer Modern として,cmr8 や cmr12 などではなく cmr10 を拡大縮小したものを用いるよう NFSS にパッチを当てて用いるのが nomag* オプションです。

開発版 jsclasses を用いた実験

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鉄緑会 東大問題集シリーズ 最新刊発売!

先週,鉄緑会 東大問題集シリーズの最新刊が発売となりました。昨年は,11月にこのシリーズに新規科目として物理が加わりました。今年は,物理も含めて4科目が7月に一斉発売の運びとなりました。

2017年度用 鉄緑会東大数学問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016

2017年度用 鉄緑会東大数学問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016

2017年度用 鉄緑会東大古典問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016

2017年度用 鉄緑会東大古典問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016

2017年度用 鉄緑会東大化学問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016

2017年度用 鉄緑会東大化学問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016

2017年度用 鉄緑会東大物理問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016

2017年度用 鉄緑会東大物理問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016

さて,今年のTeX組版的な注目点としては,物理の章扉を TikZ で全面的に作り直した点が挙げられます。

ページサンプル

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このページは,Illustrator などのグラフィックソフトは一切使わずに,LaTeX + TikZ のみで作成しています。

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和文ゴーストによる \ruby の改良

追記 (2016/08/16)

本記事で解説した和文ゴーストによる \ruby の改良が,jsclasses 開発版の okumacro パッケージに取り込まれました! github.com

追記 (2016/09/06)

追記(2016/09/06):本記事で解説した \ruby の改修が採用された okumacro パッケージが,jsclasses の一部として TeX Live 2016 のレポジトリに収録されました。本記事で取り上げた問題点は,最新版(2016/08/16版以降)の okumacro パッケージでは既に解決済みとなります。

したがって,以下の本文は,2015年以前の okumacro パッケージの \ruby に関する解説になります。




[改訂第6版]LaTeX2e 美文書作成入門の付録Bには,「パス」の説明があります。

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よく見ると,さりげなくすごい人名が登場しています。

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というわけで,()() さんに敬意を表して,今日は pTeX によるルビの話です。

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【改訂版】pdfTeX による見開きPDFの結合・分割

一昨日の記事「pdfTeX による見開きPDFの結合・分割」を執筆した後,あべのりさん (id:abenori) のご指摘により,より改良できることに気づきました。

そこで,このアイデアをもとに改訂版を作成しました。この方法ならば /Rotate による回転情報が付いているPDFにも問題なく対応できますし,TeX ソースもスッキリして読みやすくてよいですね。

前回のソースも,pdfTeX を用いたPDFのバウンディングボックス読み取り処理のサンプルコードとしての価値はあるかもしれないので,前回の記事は残したまま,改訂版を新記事としてアップしておきます。(また,記事末尾の /Rotate 除去法のリンク集も,PDF芸人には存在価値があるかもしれません。)

目次

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