追記:macOS 10.13 High Sierra でも使えます!
本日(2017/09/26),macOS 10.13 High Sierra がリリースされました。本記事で紹介している「偽装フォルダ法」は,High Sierra でも有効なようです。
追記:検証結果
本記事の方法で,Photoshop / Illustrator の CS 3~6 が全て Sierra で使用可能になる模様です。
また,報告(リンク切れ)によると,Flash 関係以外の CS6 アプリは基本的に全て動作するそうです。
Adobe CS6 Master Collection
○ Photoshop CS6
○ Illustrator CS6
○ InDesign® CS6
○ Acrobat® X Pro
○ Dreamweaver® CS6
○ Fireworks® CS6
○ Adobe Premiere® Pro CS6
○ After Effects® CS6
○ Adobe Audition® CS6
○ SpeedGrade™ CS6
○ Prelude™ CS6
○ Encore® CS6
○ Bridge CS6
○ Media Encoder CS6
× Flash® Professional CS6
× Flash Builder® 4.6 Premium Edition
× eclipse
Adobe Photoshop Lightroom 5
○ Adobe Photoshop Lightroom 5.71
本文
本日,macOS Sierra (10.12) がリリースされました。
詳細は次の記事にあるように,Sierra では,Java 6 のサポート終了に伴い,Adobe CS6 が起動できなくなっています。
実際,旧OSで CS6 をインストールした状態で Sierra にアップグレードし,CS6 を起動しようとすると,次のような画面が出ます。
そして,Apple が Java 6 のサポートを 10.11 (El Capitan) を最後に打ち切ったため,10.12 (Sierra) では CS6 を起動することができなくなりました。 *1
実は Java は必要ない!
しかし実は,少なくとも Photoshop と Illustrator に関しては,動作に Java 6 は使っておらず,単に「起動時に Java 6 が存在しているかどうかのチェックをかけている」だけのようです。具体的には,起動時に次の2つのディレクトリが存在していることをチェックしているだけのようです。
/System/Library/Java/JavaVirtualMachines/1.6.0.jdk
/System/Library/Java/Support/Deploy.bundle
よって,これらのディレクトリ(中身は空でOK)を作成するだけで,Java 6 がインストールされていると偽装することに成功し,Photoshop CS6 / Illustrator CS6 を起動・動作させることができました。Photoshop や Illustrator の全機能をテストしたわけではありませんが,今のところ特に問題なく使えています。*2
Rootless の壁
ただし,これらのディレクトリは /System/Library
下にあるため,通常は Rootless (SIP: System Integrity Protection) による制約がかかり,管理者権限をもってしても,ここにディレクトリを新規作成することはできません。
そこで,一時的に Rootless を無効にし,当該ディレクトリを作成した後に,再び Rootless を有効にする必要があります。
作業手順
以下の手順には,リカバリーモードでの作業,Rootless の一時的無効化など,やや高度な作業が出てきます。作業手順を間違えると起動できなくなったり,セキュリティリスクに晒されたりといった危険性があります。また,この手順で CS6 が起動できたとしても,それは Adobe のサポート外の“裏技”に過ぎません。作業はくれぐれも自己責任で行ってください。
1. リカバリーモードでの起動 → Rootless の一時無効化
Command
+ R
を押しながら Mac を起動し,リカバリーモードで起動します。そして,メニューバーから ユーティリティ→ターミナル を選択します。
そして,ターミナルで次のコマンドを実行します。
csrutil disable
上の画像のように,
Successfully disabled System Integrity Protection. Please restart the machine for the changes to take effect.
と返ってくれば成功です。Appleメニューから「再起動」を選んで再起動すると,Rootless が無効化された状態で起動します。
2. 空ディレクトリの作成
再起動後,管理者アカウントでログインします。そして,ターミナル (/Applications/Utilities/Terminal.app
) を起動し,次のコマンドを実行します。
sudo mkdir -p /System/Library/Java/JavaVirtualMachines/1.6.0.jdk /System/Library/Java/Support/Deploy.bundle
(⬆︎非常に長い1行のコマンドですので,右端までスクロールして,Deploy.bundle
まで確実にコピーしてください。また,お使いの環境によっては2行に分割されて表示されているかもしれませんが,1行でコピーしてください。)
管理者パスワードを要求されるので入力します。
3. リカバリーモードでの起動 → Rootless の再有効化
次に,Rootless を再度有効にします。Mac を再起動し,Command
+ R
を押しながら起動して,リカバリーモードで起動します。そして,メニューバーから ユーティリティ→ターミナル を選択し,ターミナルで次のコマンドを実行します。
csrutil enable
そして,Appleメニューから「再起動」を選んで再起動すると,Rootless が再度有効化されて起動します。
いざ実行!
これで,Photoshop CS6 や Illustrator CS6 が通常通り起動し,使用できるはずです。(再度注意:あくまで Adobe サポート外の“裏技”です!)
おことわり&おねがい
手元の環境で試せたのは,旧 OS で Photoshop CS6 / Illustrator CS6 のインストールが済んでいる環境で,OS を Sierra にアップグレードした場合についてです。Sierra で CS6 のインストーラを起動させて CS6 を新規インストールできるかどうかは試せていません。
また,
Photoshop / Illustrator 以外の CS6 アプリはどうか?CS5 以前はどうか?
についても試せておりません。どなたか試された方がいましたら,ご報告をお待ちしております。
→ 多数の動作報告が寄せられました。情報提供ありがとうございました!
動作報告
本記事執筆後に寄せられた成功報告です。
CS6 の新規インストールに成功!
記事とても助かりました。CS6をインストールしてないSierraにCS6を新規インストール→この手順でも起動できたので、本当にこのディレクトリを見ているだけという感じがしますね。
— LiveinVain (@LiveinVain) 2016年9月21日
Photoshop CS5 / Illustrator CS5 でも成功!
https://twitter.com/sho_yamane/status/778476522407546880
お蔭様で無事CS5のIllustratorとPhotoshopを起動出来ました。偽装フォルダ案は大変素晴らしいです。 pic.twitter.com/VgjJdR3UAU
— toddy (@ecq) 2016年9月22日
@doraTeX 遅ればせながらsierraにアップグレードし、無事にフォトショ・イラレCS5が起動できました!欄外に載ってたイラレ終了時にクラッシュする問題も解決です!あと、イラレでスポイト使うと落ちる問題もなぜかなくなりました。ありがとうございました。助かりました‼
— ℝ_𝕀_𝕂_𝔸 (@RICAcri) 2016年10月9日
※ Illustrator CS5 終了時にクラッシュする問題については,下記「関連リンク」を参照。
Illustrator CS4 / InDesign CS4 でも成功!
Illustrator CS4でも回避策は有効だった。
— PrimesGenerator (@prime_sequence) 2016年9月21日
macOS Sierra (10.12) で Photoshop CS6 / Illustrator CS6 を使う - TeX Alchemist Online https://t.co/5rp7WtUTBi
SierraにInDesign CS4 インストールできました。
— suga (@s_suga09) 2016年10月5日
macOS Sierra (10.12) で Photoshop CS6 / Illustrator CS6 を使う - TeX Alchemist Online https://t.co/bDw6L2m114
Photoshop CS3 / Illustrator CS3 でも成功!
手持ちのCS3の環境でも空ディレクトリ法を試したところ,Photoshop / Illustrator CS3 をSierraで起動することに成功!これで,Intelバイナリ化されてからのCS3~6の全てについて,空ディレクトリ法によるSierraでの動作が確認できました。
— Yusuke Terada (@doraTeX) 2016年9月21日
関連リンク
次の記事にも,参考になる情報が載っています。
- インストーラが「初期化に失敗」というエラーで起動しない場合は,インストーラを右クリック(control+click)して「パッケージの内容を表示」を選び,
Contents/MacOS/Install
をダブルクリックできれば起動できる。 - Illustrator CS5 が終了時にクラッシュする場合は,
/Library/Application Support/Adobe/CS5.5ServiceManager
を/Library/Application Support/Adobe/CS5.5ServiceManager.bak
とリネームすればよい。 - Illustrator CS4 起動時に PhotoshopExport.aip に関するエラーが表示された場合は,「この警告を再度表示しない」にチェックして警告を抑えればよい。
http://www.muskmelon.jp/?p=1472
- InDesign CS6 が起動しない場合は,システム環境設定 → 一般 → メニューバーを自動的に隠す/表示 をオフにすればよい。
*1:このダイアログの「詳しい情報...」からダウンロードできる Java for OS X 2015-001 は,Sierra ではサポートされていないものの,今のところ強行してインストールすることは可能なようです。そうすることで CS6 を起動することもできるようです。しかし,もはやメンテナンスされておらず脆弱性の巣窟となっている古い Java 6 をインストールすることは,お使いの Mac をセキュリティリスクに晒すことになりますので,推奨できません。本記事で紹介している「フォルダ偽装法」の方が相対的に安全なはずです。
*2:なぜ不必要な Java 6 の存在チェックをしているのかについては,おそらく,Flash CS6 が Java 6 に依存しているため,Creative Suite 全体としての連携動作を保証する目的で,Suite 全体で起動時のJavaチェックを行っているだろうと推測しています。