先週,鉄緑会 東大問題集シリーズの最新刊が発売となりました。昨年は,11月にこのシリーズに新規科目として物理が加わりました。今年は,物理も含めて4科目が7月に一斉発売の運びとなりました。
2017年度用 鉄緑会東大数学問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016
- 作者: 鉄緑会数学科
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/07/08
- メディア: 単行本
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2017年度用 鉄緑会東大古典問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016
- 作者: 鉄緑会国語科
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/07/08
- メディア: 単行本
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2017年度用 鉄緑会東大化学問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016
- 作者: 鉄緑会化学科
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/07/08
- メディア: 単行本
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2017年度用 鉄緑会東大物理問題集 資料・問題篇/解答篇 2007‐2016
- 作者: 鉄緑会物理科
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2016/07/08
- メディア: 単行本
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さて,今年のTeX組版的な注目点としては,物理の章扉を TikZ で全面的に作り直した点が挙げられます。
ページサンプル
このページは,Illustrator などのグラフィックソフトは一切使わずに,LaTeX + TikZ のみで作成しています。
全体の配置は current page
ノードで
このページには表などのパーツが色々あります。これらは,TikZ の current page
ノードを用いて,ページ上の自由な場所に配置しています。current page
と jsclasses との相性問題を解決するために,以前の記事で紹介した技法を使っています。
表は colortbl パッケージで描画したものを \node
で配置
これらの表は,colortbl パッケージを用いて描画した tabular 環境を,\node
でページ上に配置しています。
レーダーチャートの描画順序
このレーダーチャートも TikZ の \draw
や \fill
で描画したものです。ただし,描画の順に注意が必要です。
後から描画したものが「上書き」で描画されてゆくことに注意して,次の順序で描画することで,適切な重なりの順序が実現できます。
レーダー内側の灰色の塗りを描く
軸と補助線を描く
レーダー外周の黒い線を描く
文字の縁取りは dvipdfmx special で
この部分では,hiraprop パッケージを用いてヒラギノ角ゴ ProN W6 の従属欧文を出力するとともに,それを dvipdfmx special を用いて縁取りしています。
\special{pdf:bcolor [1] [0]}% \special{pdf:literal direct q 0.5 w 2 Tr}% 2016% \special{pdf:literal direct Q}% \special{pdf:ecolor}%
とすれば,縁取りした「2016」を出力できます。これを \node
でページ上に配置しているわけです。
それぞれの命令の意味は次の通りです。
\special{pdf:bcolor [1] [0]}%
文字色を指定。[1]
は「文字の塗りを白」に,[0]
は「文字の縁取りを黒」に指定しています。
\special{pdf:literal direct q 0.5 w 2 Tr}%
0.5 w
の部分が「縁取りの太さを0.5pt」に指定しています。2 Tr
の部分は,「縁取り塗りつぶしモード」に変更しています。(0 Tr
ならば通常モード,1 Tr
なら縁取りのみで塗りなしモード」になります。)
\special{pdf:literal direct Q}%
「縁取り塗りつぶしモード」を終了し,通常モードに戻ります。
\special{pdf:ecolor}%
bcolor
で始めた文字色指定を終了し,通常色に戻します。
縁取りの応用例
この dvipdfmx special を用いた縁取りは,PDFの機能を用いて縁取りしていますので,和文・欧文・数式を問わず,あらゆるフォントを縁取りできます。
また,文字色指定において,[1]
や [0]
のように数値1つで指定するとグレースケール指定,[0 .3 .2]
のように数値3つで指定するとRGB指定となります。
これらを用いて,派手な例を作ってみたものが以下のサンプルになります。
\def\a{\special{pdf:bcolor [1 0 0] [0 0 1]}a\special{pdf:ecolor}} \def\b{\special{pdf:bcolor [0 1 1] [0 0 1]}b\special{pdf:ecolor}} \special{pdf:literal direct q 0.2 w 2 Tr}% \textgt{% \special{pdf:bcolor [0 1 0] [0 0 1]}展\special{pdf:ecolor}% \special{pdf:bcolor [1 0 0] [0 0 .5]}開\special{pdf:ecolor}% \special{pdf:bcolor [0 0 .6] [1 0 .7]}公\special{pdf:ecolor}% \special{pdf:bcolor [.7 0 .7] [0 .5 .5]}式\special{pdf:ecolor}% } \[(\a+\b)^2=\a^2+2\a\b+\b^2\] \special{pdf:literal direct Q}%